Flyway to the future 未来への航路 Kaisyo Forest 海上の森 とand Fujimae Tidal Flats, it's connection of the eco-systems 藤前干潟、生態系のつながり 「市民参加の環境万博」に向けて  新住宅事業という、これまでの大きな足枷が取られて、迷走してきた「愛知万博」の基本計画を、その決定プロセスも含めて、21 世紀の指針となるものに再生させる場が生まれたことを画期的なことと評価したい。あらためてBIE フレームワーク(21 世紀における国際博覧会の基本構想)を見直し、時代と社会の要請に応え、次世代へ遺産として私たち自らが求めるものを考えたい。そのためには、これまでのあらゆる経緯や前提条件にこだわらず、あたらしい発想を受け入れ、聴きあうことからはじめたいと思う。この歴史的な作業に関わる幸運と責任を感じつつ、未来への協同的創造に参加していきたい。 W5 EXPO 2005 の基本理念 1 . 20 世紀の地球的問題に解答を与えるもの(BIE FRAMEWORK ) 2 . 開発を超えて、「自然の叡智」に学ぶもの(EXPO FRAMEWORK ) 3 . 守られた、海上の森と藤前干潟が、見せるもの 4 . 環境修復型開発と循環型社会への実践と展望 5 . 子どもたちに伝えたい−市民の思いが創るもの 1999 AtsuoTsuji & IanHarnett W5 EXPO 2005 プロジェクト委員会 連絡先:藤前干潟を守る会 〒466-0002 名古屋市昭和区吹上町1-29-1-211 TEL/FAX:81-52-735-0106 atuo @mub.biglobe.ne.jp 1 .20 世紀の地球的問題に解答を与えるもの(BIE FRAMEWORK )  国際博覧会協会(BIE )は、21 世紀の国際博覧会は、20 世紀の人類が残した地球規模の諸問題、急速な工業化、人種対立、環境破壊、人口膨張、食物の安全性を取り上げ、歴史的、文化的、言語的障害を超えて、相互交流を奨励し、相互理解をはかり、いきいきとして創造的な、いのちとくらしを高揚させる社会の創造に寄与することとしている。  そして私たちの前には、急激な工業開発がもたらした大量生産と大量の廃棄物による環境汚染と空間収奪があり、その主因が、私たち人間の、私たち自身もそこで生かされている生態系のはたらきについての無知と軽視にあったことも共通に理解されているといってよいだろう。  そうであれば、今後の指針を、人口増大と経済成長の必要性を理由に「自然の利用と保全の調和」としていては、あまりに現状肯定であり、むしろ、「残された自然の保全と、失われた環境の修復をめざす」と、明確にすべきである。さらに、無自覚のままに、経済成長を求め、資源と空間を浪費してきたことを認めるなら、ゴミで環境を壊さないような、生産と消費、くらしのあり方の全てが問い直され、「持続的、循環型の社会システム」への実践と展望を示すべきである。 2 .「開発を超えて」、「自然の叡智」に学ぶ(EXPO FRAMEWORK )  これまでは根本的な矛盾があったとはいえ、「愛知万博」の基本テーマ、「開発を超えて」、「自然との共生」は、上の現状認識にたつものには極めて明瞭なメッセージであった。より多様な解釈のできる「自然の叡智」に学ぶということも、その姿勢こそ今もっとも必要なものだろう。  私たちが「自然の叡智」を感じるのは、地球上にある多様ないのちが、複雑精妙につながりあい、その結果として、全体として見事なはたらきをしていることを知るときであろう。  人間自らもそのつながりの輪の中で生かされている「生態系」についての理解不足、近視眼的な利益追求からくる軽視が、かけがえのない「いのちの遺産」を壊してきた。  いま、「自然の叡智」に学ぶとは、それを産みだしている「生態系」のつながりと、はたらきを深く知り、「いのち」の視点から、すべてを見直すことにつきよう。 3 .守られた、海上の森と藤前干潟が、見せるもの  いまとなれば、「愛知万博」が、海上の森で構想されてきたことも、「幸運」だったかも知れない。それは、最後の渡り鳥渡来地−藤前干潟が、こともあろうに自分たちの出すゴミでつぶされようとしたことと同じ意味においてである。  「跡地利用」という名の開発様式や、際限のない都市化型開発への疑問、里山という、人と自然がみごとに共生し、多様化させてきた環境の価値をクローズアップしてくれたからである。  もうひとつの幸運は、両者が矢田・庄内川を通じて、つながっていることだろう。広葉樹林の落ち葉の元につくられるフルボ酸鉄が、海のいのちにとって不可欠の養分であることが明らかになり、森と海のつながりや、地球上の養分大循環のしくみにまで、理解が及ぼうとしている。  両者とも、ある意味では奇跡的に、しかし、時代の状況と要請という意味では必然的に、守られることになった。これは、私たちの世代の貴重な、次世代に希望をつなぐものとしての体験である。海上の森と藤前干潟の尽きることのない魅力を感じてもらいながら、そうした社会の体験を伝えることができれば、「環境万博」の中身として、これほどふさわしいものはないだろう。 4 .環境修復型開発と循環型社会への実績と展望  海上の森や藤前干潟を、21 世紀型社会への象徴として見せるには、それを可能にした社会システムの転換が実感されなければ意味がない。それには、かって森を壊したところに森を復原しつつ進められる環境修復型のあたらしい開発の姿があり、海を壊してきた埋立地や干拓地に干潟を再生し、都市の廃棄物を資源化するしくみや、クリーンエネルギーの基地として活用をはかる姿が現実のものとしてあることである。  それらが、一過性の見せ物として、あるいは将来性のある夢の技術としてあれば良いという時代ではない。21 世紀の初頭に、普遍的モデルとして、生産からくらしのあり方まで、苦難を超えて改革がすすみ、次代のランナーに引き継げるところにいることを見せたい。 5 .子どもたちに伝えたい−市民の思いが創るもの  地球上の生きとし生けるものにとって、最大の願望であり使命であるのは、子孫の繁栄であり、自分が体験した以上の、よりよき環境と文化を伝えることだろう。  21 世紀の世代に引き継ぐべき価値観をもつものが、そのためのイベント「環境万博」の担い手となるのは、当然である。ただ、これまでの万博の歴史の上で、真にその担い手であるべき市民が創り上げたものはなかった。  そして、いまほどそれが求められ、地球規模で、人々も思いや知恵が結集できるときはない。 すでにどこかで形作られたものに色をつける程度の「参加」ではなく、形を作るところから始められる「参画」と一緒に創る「協働」を、実験とか練習としてではなく、本番の実演としてできる、そんな機会を私たちは今もっているのだし、その期待に応えたいと思う。 「環境博 W5 EXPO 2005 」の基本構想 −「自然の叡智」 : 森から海への生態系のつながり− ● オオタカを頂点に、多様な生態系を持つ広葉樹林の森 ● 里山の自然と文化を生かした、環境保全修復型の開発 第1 会場 Main Site 瀬戸市周辺 開発跡地 Seto City 海上の森 Kaisho Forest 回廊水系 矢田川、庄内川 Yada/Shonai River 名古屋市 215 万人工業都市 Nagoya city 2 million Industrial Metropolis 第2 会場 Pavilion Site 名古屋港周辺 未利用埋立地 Nagoya Port West-5, PI, Kisozaki 藤前干潟 Fujimae Tidal Flats ● ごみ埋立から劇的に守られた渡り鳥の日本最大の渡来地 ● 干潟保全を転機とした、資源循環型の都市社会システム 何を見せるか? ―希望に満ちた21 世紀への、新しい都市のビジョン― ● 守られた海上の森を歩く ・ 海上の森そのものを「エコ・ミュージアム」として見せる ・ 里山の文化と伝承農林業を再興し、都市住民の憩いの里として生かす ・ 炭と焼き物の伝統技術と、未来技術のセラミック・パビリオン ● 守られた藤前干潟にふれる ・ 日本最大のシギチドリ渡来地、ラムサール条約の国際的重要湿地 ・ 春と秋の渡り、最盛期をカバーする開催期間 ・ センス・オブ・ワンダーを育てる干潟とのふれあい ・ 臨海工業開発で失われた伊勢湾の干潟とゴミ埋立の危機 ● 保全を実現した社会システム、自然との共生技術を見せる ・ 陶土、硅砂の採取跡地に広葉樹林復原、環境修復型の開発 ・ 水系河川にビオトープ、矢田庄内川の水質改善 ・ 未利用埋立地に究極の資源化施設、循環型社会システム ・ 未利用干拓地に干潟の復元、クリーンエネルギーパーク どこが有利か? −環境博 W 5 E X P O 2 0 05 構想の利点− 1 .理念に叶い、世界につながる象徴的な舞台を用意する ・ 里山の森から干潟までの水系のつながりが都市のオアシスとなる姿 ・ 渡り鳥がむすぶ地球のつながり、世界の人々のつながりを生かせる ・ 森から海までの生態系をみせるエコツア−、新しい体感型の博覧会 2 .より経済的、効果的な設営条件 ・ 一過性イベントの宿泊施設に、伊勢湾の海上ホテル(船舶) ・ 将来につながる無駄のないアクセス、高速道、西港線、海上交通 ・ 愛知・三重・岐阜3 県の「環境万博」に位置づけ、中部圏の活性化に寄与 3 .過去を見直し、未来へつながる、広域参加型の開催 ・ 自然破壊の開発跡地や、未利用の埋立地、干拓地を活用 ・ 環境を修復し、ゴミ問題、クリーンエネルギーへの究極解答 ・ 世界のNGO 、市民の知恵を集め、中部圏の将来に展望を与える  これまでの開発のあり方を見直し、持続的循環型の社会システムをもつ都市を実現することこそ「環境万博」のねらいであり、高度経済成長期に行政主導型開発で造成されながら、四半世紀も放置されてきた名古屋港西5 区(West5)や木曾岬干拓地こそ、その舞台として、もっともふさわしい。  それは、地球のいのちの痛みを深く受け止め、20 世紀型の開発、有限の資源や環境を浪費してきた人間社会のあり方を省みながら、森や里山から水系でつながる干潟や海の環境を保全し修復しながら、それを可能にする都市や社会の仕組み、あたらしい開発のあり方を提示することです。  世界の諸都市で普遍的な問題を解決するために、人類の智慧と想像力をここに集めて、地球生命の持続的生存を可能にする人間社会のあり方を創る、21 世紀初頭の世界規模の挑戦になるでしょう。それは自発的な市民の参画によってこそ、実現するものと信じます。 ●名古屋港会場へのアクセス 1 .地下鉄名城線 +JR 西名古屋港線(2004 年開通) 2 .東名高速+東名阪 + 国道23 号線(名四国道) + 伊勢湾岸道路(第2 東名名神と接続) 3 .海上交通交通 ● 名古屋港会場の具体的イメージ 藤前干潟―循環型社会へのシンボル FUJIMAE Tidal Flat - symbol for the sustainable society ごみ埋立の危機から奇跡的にまもられた藤前干潟は、 地球を旅する渡り鳥を支え、私たちに海の幸と心の安らぎを、 子どもたちのセンス・オブ・ワンダー(驚きに満ちた、 自然のすばらしさを感じる心−レイチェル・カーソン) を育むところです。。 日本一のシギチドリ渡来地として、国際的に重要な湿地を 保全するラムサール条約の登録地として、 渡り鳥と干潟の自然公園として、 215 万都市のオアシスになるところです。 そして「使い捨て」のごみを元から断ち、 資源循環型社会への画期的な転機をもたらしたのです。 今名古屋市民は一丸となって ごみで環境をこわさない社会」をめざしています。 「環境博」はその実現過程をみてもらい、 ごみ減量とCO2 削減の先進都市−名古屋を 世界にアピールする絶好の機会です。 藤前パビリオン − 渡り鳥が世界をつなぐ ●世界の干潟、渡来生息地の同時中継 ●干潟で育つセンス・オブ・ワンダー、ふれあいとやすらぎ ● ハマシギの群舞 ● ベントス・プラネタリウム ● 西5 区―ポートアイランド、主会場 ● 北館−月と火星 宇宙ステーション ● 木曾崎干拓―湿地の再生とクリーンエネルギーパーク ● エアロトレイン(自然エネルギーで走る超特急) どうやって見せるか? 万博会場での展示とは別に、 森−川−海をつなぐ、そして街ともつながる、 NGO ベースの多様な、体感的イベントをひらく 森:海上の森 川:矢田・庄内川、堀川 海:藤前干潟、伊勢湾 をイメージしたが、三河湾やその水系、 三重県、岐阜県の水系についても含んでよい ・ 笹島門前町(エントランス)に、森と湿地(ミニ版)を再生 ・ 笹島門前町からのエコツアー(無公害バス) 種々の単独コース、周遊コースを設定 ・ 森、川、海をつなぐ、トライアスロンやバードソン ・ 森、川、海をめぐる、流域環境フォーラム ・ 森、川、海での季節ごとの生きものまつり ・ ベントス・プラネタリウム(干潟の生きもの体験) ・ 名港セイシェルランド(コアジサシの繁殖地を創る) などなど、 詳細は別途、また、市民からのアイデアを募集する。 「愛知万博検討会議」で出された、「近い」提案 森川委員提案:分散会場案 海上の森 1 万人 青少年公園 5 万人 笹島 5 万人 金城埠頭(藤前干潟含む)10 万人 は、受け入れ可能人数と、アクセスの面から、もっとも合理的な提案と思われる。  W5 EXPO 2005 で提唱するエリアは、さらにこの西5 km になるが、湾岸道路で一息につながる。未利用埋立地や干拓地を活用して、「未来のリサイクル基地」、「クリーンエネルギーパーク」をつくる構想は、将来の中部圏にとっての大きな価値があり、一過性のイベント(お祭り)で終わらせるのは勿体ない。