広大なサイバー空間の片隅に在るこの取るに足らないちっぽけなサイトに、あえて「市民(の)電子出版局」と名づけたのは、いわゆる「市民運動」や「市民活動」の情報発信や提言を主に電子出版するという「文字通りの」意味に加えて、じつはもうひとつ意味を込めたいと考えたからです。それは「原子力資料情報室」の代表を長く務め、今病床でがんと闘う高木仁三郎氏が主張し続けてきた「市民の科学」に通じるものです。
高木氏は静かにこう述べます。
「『市民の科学』がやるべきことは、未来への希望に基づいて科学を方向づけていくことである。未来が見えなくなった地球の将来に対して、未来への道筋をつけて、人々に希望を与えることである。」(高木仁三郎著「市民科学者として生きる」岩波新書1999年)
「‥‥欠如しているのは、人々の未来に対する希望である。先に『理想』として述べたような、安全で自由な暮らしと未来に対する人間としての当然の希望、そのために努力したいという基本的な意欲は、誰でも持っているのに、あきらめの浸透が希望を抑えこんでしまっているのだ。
そうであるならば、私たちはあきらめからの脱出、すなわち希望を、単に個人個人に期待するだけでなく、人々の心の中に積極的にその種を撒き、皆で協力し合って育てていくものとしてとらえ直す必要がある。」(同書)
市民電子出版局の基本ポリシーの最初に、まずこのことをあげたいと思います。
<市民電子出版局の基本ポリシー>
市民電子出版局は、人々の未来への希望につながる出版を目指します。絶望やあきらめ、不信や憎悪、差別や排外主義につながるものの出版は行いません。
市民電子出版局は、市民の運動や活動にかかわる情報の発信、意見や政策の主張や提言に協力をします。これらを無償で、ひとりでも多くの人々に届くように電子出版します。また、著者の意見や主張には基本的に手を加えません。
出版物の内容には著者がすべての責任と権利を持っています。したがって内容に関する読者の皆さんの意見などは著者に直接出していただきますが、出版局として、両者のスムースな関係のために最大限努力します。
運動や活動の中に生まれる意見や主張の違いや対立に対しては、公正な立場を堅持します。特定の意見や立場、特定の政党やグループに偏った出版は行いません。
市民電子出版局が行った出版活動に対する批判や意見には謙虚でありたいと思います。これらの批判や意見のみならず、これらに対する出版局の対応もできる限りオープンにし、最大限の誠意を持って対応していきます。
市民電子出版局はその運営や活動に多くの人々の参加を求めます。多くの人々と共に、人々の心に未来への希望の種を撒き、育てていく活動を行いたいと願っています。
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