Fujimae Booklet 2

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 前頁の表とグラフ、上の表に示すように、各調査地点とも出現した生物の種類は限られており、C地点のイトゴカイを除いては個体数も少なかった。C地点で現存量が他の地点に比べて大きくなっているが、これはアサリの湿重量が大きいためである。

 B地点ではアナジャコの新規着底個体が多く見られた。その年に着底したアナジャコの巣穴は浅いため、深さ30Bの調査で捕らえることができたが、深く巣穴を掘る2年目以降の成体についてはこの方法で採集することは困難である。30cm以深のコア・サンプラーによるアナジャコ調査に関しては次項で述べる。

 山砂が入れられたA地点では粒径の小さなシルト、粘土が礫、砂の間に存在している。現存量の数値には表れてこないが、干潟表面にはアナジャコの巣穴が多く見られ、30cm以深での成体アナジャコの存在を示唆している。また、表層にはカニ、ヤドカリなども見られ、他の調査地点に比べ出現した生物種類数は多い。

 さらに、A,B,Cの各地点とも、半径5mの範囲内であっても一様な環境ではなく、生物量にかなりのばらつきが出る結果となった。

 いずれの地点でも現存量の大半はアサリで占められており、決して多様性に富んだ干潟であるとは言えない。ここで見られたような礫の多い潟土質では、泥質を好むゴカイなどの底生生物が生息し辛く、粒子の小さい砂が流出するようなことが続けば、ますますその傾向は強まり生物相が貧しくなると予想される。

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