1 調査目的
前述した底生生物調査は、25cm×25cm×30cmのコードラード法である為、30cm以深の生物については把握できない。そこで、上記の調査と並行して、藤前干潟で行っている底生生物調査と同一の方法で、深部の底生生物(特にアナジャコ類)について調査を行い、個体数・土質・採集深度等の面から考察を加え、藤前干潟との比較を行なう。
2 調査方法
◎調査日時
1998年5月26日 13:00〜19:00 干潮 16:01(潮位 -12cm)
◎調査地点
前述の調査地点とほぼ同じであるが、A、B、C各地点とも、干潟高・中部で採集されたのはヒメスナホリムシ数個体のみであるため、生物量については干潟低部のもののみを示した。
◎調査方法
長さ1.4m、直径83mmのコア・サンプラー(断面積50C)を干潟泥中に打ち込み、底生生物の採集及び、干潟泥土の観察記録を行った。アナジャコ類の個体数については、干潟表面に開口している巣穴をカウントし、1平方mあたりの個体数を計算した。
3 調査結果
(1)概況
前述のように、7年前に造成された後、圧密沈下、波浪による覆土の流出により、干潟の傾斜と、泥土の粒度組成に変化が大きいと思われる。
(2)造成地の傾斜及び泥土の粒度組成について
人工干潟造成当時は護岸から潜堤に向かって緩やかに傾斜していた。
造成地に投入された覆土は厚さ約1m、成分としては、シルト・粘土分5%の海砂であった。
現在では、風波による覆土の流出、及び打ち上げにより以下の状況になっている。
@部(大潮平均高潮面以上)では、細砂・シルトの堆積による地盤高の上昇。
A部では細砂・シルト分の流出により、礫粒度組成における礫分の増加と、波の打ち上げによる傾斜の増加。また、これに伴い保水力の低下及び有機物堆積量の減少が起こっている。
B部は潮干帯下部にあたり、1日の大部分の時間は波浪の影響を受けにくいためか、シルト・粘土分の減少がみられるものの、細砂の流出はあまりみられなかった。しかし、地盤高の低下がみられ、A、B部の境界部分は傾斜の変化が急である。
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