Fujimae Booklet 1

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調査目的

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【写真1

1998年8月28日

藤前干潟E300地点の泥の状況。踏込んだ部分に、干潟表層直下の泥が還元的な黒色を示しているのが見られ、還元状態の潟土が拡大している事が確認できる

 

 藤前干潟を守る会では1997年6月から12月まで藤前干潟、日光川河口、庄内川・新川河口におけるアナジャコ類(アナジャコ:Upogebia major, ニホンスナモグリ:Callianassa japonica)の巣穴分布を調べ、その結果を「藤前干潟におけるアナジャコ類調査」として報告した。この調査でアナジャコ類のうちアナジャコの巣穴が藤前干潟西部分で非常に高密度で分布していることがわかった。

 また、その後の継続調査により、藤前干潟には、アナジャコ(Upogebia major)の他に、近縁のヨコヤアナジャコ((Upogebia yokoyai):名古屋市の環境アセスメント準備書等には未記載種)が、干潟中央部に多く棲息していることが確認された。

 アナジャコはゴカイ、イトゴカイ類とともに藤前干潟における主要な底生生物であり、シギ、チドリなどの渡り鳥の餌でもあるが、その浄化能力は極めて高く、自身の濾過食による干潟上の水の浄化、及び、水の循環と造巣行動による底泥下部への酸素供給の面において多大な貢献をしている。

 しかし、翌1998年と、翌々年1999年の8月末から9月初めにかけて、藤前干潟に生息していた底生生物が激減、特に干潟西側部分の底生生物はほとんど壊滅状態となってしまった。

 本報告では、このような底生生物量の激変がその年だけのものであったのか、あるいは夏期には往々にして起こる現象であるのかを、特にアナジャコ類の個体数の変化に焦点を当て、個体数を激減させた原因や、それが起こった時期を考察しようと試みたものである。この現象がアナジャコ類にどれほどの影響を与えるのか、一方いったん減ってしまったアナジャコ類がどの程度回復するのか等の問題を確かめるため、藤前干潟内のアナジャコ類の巣穴数を1999年5月から11月まで6箇所の調査地点で調べた結果を報告する。

 

 

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