Booklet 02 P.6

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じっくりと子供の成長を待つ心のゆとりを、大人の側が持ちたい。

 

 

【4について】
 登校拒否は「無気力」なのだろうか? 実は、みんなが普通に行っている(最近はイヤイヤ、無理に行っているという子どもが激増しているようだが)学校に、「行かない」という行為をすることは、ものすごいエネルギーのいることなのである。それが自覚的な選択として本人に意識されていないから、「頭が痛い、お腹が痛い」などという形で身体の不調として表現されるのであり、これは生理的な身体防御反応である。その子どもは、ものすごい力を振り絞って「学校に行かないことをしている」のだ、ということを理解してほしいと思う。

【5について】
 そのような状態の子どもに対し、「学校に行かないのなら、その代わりに何かをやりなさい」と言うのは、無理な要求であると思う。まして、「どこそこへ行けば出席に日数にカウントされるから」などいう理由で、どこかに行かせようというのは、ますます子どもを追いつめるだけである。登校拒否していた子どもたちの多くが、その時を振り返り、異口同音に「あのときの時間は自分にとってとても大切な時間であった」と語っていることを大切に受けとめたいと思う。「繭ごもり」の時間は、人それぞれであり、じっくりと子どもの成長を待つ心のゆとりを、大人の側が持ちたいものである。

 函館でもこの4月から、待望のフリースペース「自由高原」(この素敵な名前は、参加している子どもたち自身が付けたものである)がオープンし、私も微力ながら少しお手伝いして
いるが、その「設立の趣旨」では、次のようにうたっている。

 今、学校に行かないことを選択する子どもたちが増えています。ここは不登校を治 したり、学校へ戻すことだけを目標にするところではありません。子どもたちに多様 な居場所を保証していきたいと思います。子どもたちが、自由に、自分の意志で選べ る場の一つとして存在したいと思っています。

【6について】
 学校との関わりについては、子どもにとって、まず家庭が「安心して自分が認められる居場所」となるよう親自身が心に決め、その考えと子どもの気持ち(何をして欲しいか、あるいは、「何をして欲しくないか」)について、的確に学校に伝えることが大切だと思う。子どもの人生に第一に責任を負うのは親であり、学校ではない。また、父親がいる場合は、父親も学校に関わっててほしいと思う。残念ながら日本は未だ男性優位の社会であり、学校も特に父親の話はそれなりの重みを持って受け止めてくれるように感じらる。それと、担任の先生だけではなく、校長先生にも直接会ってお話をし、ご理解いただくことも大切であるように思う。

 

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